蝿の王 ウィリアム・ゴールディング 新潮文庫

蠅の王 (新潮文庫)

蠅の王 (新潮文庫)

遭難した飛行機から無人島にたどり着いたのは男の子ばかり。一人の少年がほら貝を吹くことで最初の集会が始まる。大きな子が数人と小さな子たちである。ほら貝を持っているという理由でリーダーになったラーフは、助けを呼ぶために目印としてのろしをあげつづけることにこだわるが火が大きくなって火事になる。この火事で小さい子が一人行方不明になる。ピギーのメガネを使って火をつけられるのはラーフだけだ。合唱団リーダーのジャックは自分のグループ内でのろし当番を引き受け、それ以外のメンバーで雨をしのぐための小屋を作ることにするがなかなか小屋はできない。沖を船が通りかかるが、火が消えていて合図ができない。ジャックたちがのろしを放置して豚狩りにでかけていたのだ。ジャックは長年の試行錯誤の末に豚をつかまえたのに、のろしの火を消したことをラーフに非難されまたも言い争いになる。子ども達の中にはおびえて、獣を見たと言い張る者がでてくる。それもジャックとラーフを中心とした言い争いの種だ。ジャックは仲間を連れて集団から出て行くが、狩をした豚の肉を焼くのにどうしても火が必要で、ラーフののろしから火を取り、ラーフやピギーも肉を食べにくるよう誘う。ラーフの仲間サイモンはよく山の中で一人で自分自身の心と対話する。その日サイモンは、ジャックが獣にささげた豚の頭(蝿の王)と対話を重ねる。肉を食べた後の豪雨のなか、少年達は「獣を殺せ」と踊りだす。そこにたまたま山からサイモンが戻ってきて、サイモンは獣であるかのように殴り殺されてしまう。ジャックたちは火をつけるためにピギーのメガネを強奪していく。ピギーとラーフは、ジャックたちに「規則を守って暮らそう、殺したり狩をしたりするのはやめよう。メガネを返してくれ」と訴えるが、ジャックの仲間が山から落とした大きな岩でピギーは海に落とされて死んでしまう。他の仲間もジャック側に付き、ジャックはラーフを殺す計画を立てる。ラーフを燻りだそうとジャックたちがつけた火で島全体が火事になる。その煙を見て巡洋艦が救助にやってくる。