イワン・デニーソヴィチの一日 ソルジェニーツィン 新潮文庫イワン・デニーソヴィチの一日 (新潮文庫)作者: ソルジェニーツィン,木村浩出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1963/03/20メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 25回この商品を含むブログ (47件) を見る

主人公の極寒の収容所での一日の生活を描く。
朝五時に起床の合図が鳴る。厳寒の中体調の悪い主人公は寝床から出ずにいて、懲罰房行きだと監守に呼び出されるが、行ってみると監守室の掃除を命じる口実だった。朝食は放置しておくと食べられてしまうので、班の仲間が守っていてくれる。看守室の掃除を済ませて食事に戻る。体調が悪いので休む許可をもらいに医務室に行くが、許可はもらえない。身支度をして、収容所の外へ作業に出る。寒い中、身体検査を受け、行進して作業現場にでかける。収容所では班長が班員の生活の全てを握っている。班長は工事の監督役と交渉し、何とか作業しやすい現場で作業できるように、また食料が十分配給されるようにとりはからう。生活のすべてが班単位での行動で、共同責任だ。
収容所には、さまざまな民族・宗教・職業の者がいる。手際の良いもの・悪いもの、身寄りがあって差し入れのあるもの・差し入れがないもの、色々な人物がおり、極限状態のなかでそれぞれの個性が一層際立つ。
主人公は班員たちと協力して作業をすすめる。極感の地では作業に使うモルタルもあっという間に凍ってしまうので工夫が必要だ。効率よく作業をすすめて、配膳係をだまして大目の昼食にあずかり、午後の作業をする。自分の使い慣れた道具も回収されてしまうので、道具を隠すのも一苦労だ。点呼をうけ、また整列して収容所に戻る。夕食も多めの量を確保し、就寝前の点呼の間を縫って、差し入れを受け取ったり、保有をきんじられているナイフをひそかに作って隠したり、タバコを売買したりといった日常が細かく描かれる。結局必死で一日を過ごすうちに、朝体調が悪く熱っぽかったのはすっかり回復していた。こうしてイワンの一日が終わる。